私共の懐石教室では、茶事の中の懐石の膳組、作法という事を中心にお教えしております。
長い年月に洗われて伝承されてきた懐石には今更ながら無遠慮に手の入れようのない厳しさと
美しさがあるように思います。
自然のあるがままの姿を尊び、確かな味覚、包丁道を大切にした懐石膳組が家庭の中でこそ
茶心のあるもてなしの姿として受け継がれていくべきではないか、という事を心にとめて
本来の茶事の中心である”粗茶一服差し上げたい”という懐石の後に続く濃茶がより一層
美味しくいただけるような献立を整えて、実際に私共が作った料理を召し上がって
いただきながら勉強していただければと思います。
懐石料理を戴くときには作法があるので、もちろんそれらは一つ一つ細かくお教えしておりますが
決してそれにとどまることなく、美味しい料理やお酒を味わいながら和やかで楽しいひと時を
一緒に過ごし、季節のうつろいや美しさを感じながら、お客様をもてなす亭主の心、それに応える
お客ぶり、蓮客同士思いやる心といった、静かなる交わりのなかで、再びめぐることのない、
今日のかけがえのないこのひとときを一緒に楽しむことの出来るように、時には流儀をもこえて、
決して形だけではない、心の通った作法を身につけることの出来るような懐石教室を
展開していけるよう、私共も日々精進を重ねてまいりたいと存じております。
２０１９年６月の懐石教室
